医師に「ご臨終です」と宣言された後、死者への最後のいたわりとしてその唇に水を含ませる水を末期の水、または死水といいます。
これは、釈尊が入滅される直前に水を求められた時、雪山に住んでいた鬼神が鉢に浄水を盛って捧げたという故事からきたものとされています。
死に至る病気と闘いながらまず何よりも欲しいのは水だということでしょう。
血縁の濃い者から順に、割り箸に脱脂綿を巻いたものに水をつけ、唇を少し濡らします。
"死水を取る"ことは、臨終まで介抱することであり、もう一度よみがえるようにとの願いとともに、肉親に見とられて最後の時を迎えたいという死者の願いが秘められているといえるでしょう。
病院への支払いは、退院時に済ませるのがいいでしょうが、できない場合はその理由を申し入れてできるだけ早く済ませられるようお願いしておきましょう。
もちろん、臨終に際してはいろいろな出費が重なるわけですから、ある程度の金額を用意しておくことが必要です。
病院が遠方の場合は、支払いを済ませた時に死亡診断書をいただいて帰りましょう。
遺体を安置したら髪を整え、男性はひげをそり、女性は死化粧をします。長い病気で面やつれがひどい場合は、ふくみ綿といって口の中に綿をふくませ、死顔を整えます。
死化粧は、できるだけ身近な方の手でするようにしましょう。
ご遺体は見苦しいことがないよう、きれいに整えましょう。
できれば、布団も新しくし、清潔なシーツとカバー、枕を用意して、北枕(または西枕)に安置します。
顔には白布をかけて、両手を胸の上で合掌させます。
枕もとには"枕飾り"を用意しましょう。
白木の台か、白いカバーをかけた小机の上に、香炉燈明、一輪花・りん、供物(水、一膳めし、枕団子)を供えます。
水は故人が使っていた湯のみ茶わんを使い、一膳めしはやはり愛用の茶わんにご飯を山盛りにして、箸を立てて飾ります。
ご飯は供えるのに必要な量だけを新しく炊いて、残らず盛るのがしきたりです。
また、枕団子は団子粉を練ったものを団子にして皿に盛って供えます。
なお、浄土真宗などでは、一膳めしや団子、水、お茶などは用意しません。
※一膳めしの箸を立てるのは宗派によって異なります。
枕飾りができたら、僧侶をお呼びして枕経をあげてもらわねばなりません。
その時、菩提寺や宗派がわからなければ、親類に聞くか青山会館に聞けばいいでしょう。
また、菩提寺が遠い場合は、近くの同じ宗派のお寺を紹介してもらえます。
もちろん、交通の便も考え今後、長いおつきあいをしなければなりませんから慎重に選ぶようにしましょう。
同じ宗派・宗旨のお寺が近くにない場合は、当社が宗派や地理的条件などを充分に配慮して、責任をもってお世話させていただきます。
また、お寺様へは、夜中では失礼になることもありますから、翌朝、明るくなって連絡されるようにするといいでしょう。
不幸があった場合は、家の中から仏事にふさわしくないものや華やかなものは取り除きます。
神棚は扉を閉めて、正面の合わせ目に白い半紙を張って神棚封じをします。
扉がない場合は、神棚の上部から白い紙を張り下げてご神体を隠しましょう。
喪主は一般に故人と最も縁の深い人がなり、故人に代わって弔問を受ける立場ですから、迅速に決めなければなりません。
普通は故人の配偶者、配偶者が他界している場合は長男、子供が死亡した場合は父親か母親となります。
他家に嫁いだ娘がなってもかまいませんが、高齢者や幼児が喪主になるのは避けた方がいいでしょう。
いずれにしても、喪主はこの後、故人を弔う人であり、社会的なつきあいを引き継ぐわけですから、納得できる人がなるようにしましょう。
普通の自宅葬では、喪主が施主であり、葬儀の責任者である「葬儀委員長」ということになります。
しかし、喪主や遺族は看病疲れや深い悲しみの最中でもあり、遺体を見守ったり弔問客の応対などで神経を使いますから、規模の大小にかかわらず、遺族が地域の人々や職場の同僚、友人などの手を借りて葬儀を行うようになります。
大きく分けて、全般を総括する「総務」おとき、お寺様のお世話をする「接待」、香典など金銭の管理をする「会計」などの責任者を近親者のなかから選びます。
いずれも、故人のことをよく知っていて、その家庭の事情に詳しく、よく気のつく人が適任でしょう。
世話役は、先走ったり、遺族が思ってもいなっかった方へ流れないよう気をつけましょう。
経済的なことを含め、それぞれの家庭には事情がありますから、喪主や遺族の希望を知っておくことが必要です。
ご会葬に「盛大なお葬式でしたね」とおほめいただいても、借り入れてしまうようでは良くありません。
また、喪主は葬儀の日時を決めるお寺様との打ち合わせ、規模が決まる葬儀社との打ち合わせには必ず立会いましょう。
総務責任者 | 葬儀の通知から、弔辞の依頼、弔電の整理、供花の順番や式場の整備など、幅広く受け持ちます。 親戚で、よく事情のわかった方にお願いしましょう。 |
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<事務係> | 事務係は、葬儀全般の進行を受持つディレクター的な役割となりますが、進行そのものは経験豊かな、青山会館の係員が代行いたします。 主な仕事は、親族代表のあいさつをお願いしたり、弔電の整理をし順番を決めたり、火葬場へ行く人数の把握、タクシー、バスなどの配車の手配などです。 |
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<会場係> | 会場係は、葬儀社の社員と協力して会場以外の整備をし、会場までの順路を明示したり、テントや駐車場、お寺様の控え室、雨天の時の雨傘入れなどを準備します。 供花、供物は、通夜が終わってから新しく届いたものを含め、関係順に整理して並べ変えます。 ほとんどは、葬儀社が手伝いますので、希望を伝えていただければ結構です。 |
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接待責任者 | 遺族、親族、お寺様、会葬者、そして各係の方々の飲食接待を受け持ちます。 まず、それぞれの人数を把握しておきましょう。 |
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<おとき係> | おとき(料理)の接待役で、自宅などの場合は隣組の女性が受け持つこともあります。 出納係からお金を預かり、買い物を済ませ、葬儀の2時間くらい前には席につけるよう準備をしておきましょう。 |
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<台所係> | 接待責任者と相談して、人数を確認し遺族の食事、お通夜のお茶出しなどを担当します。 控室、おとき、火葬場、精進落しの席で、親類や近隣の女性が分担するようにします。 |
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会計担当者 | お金に関するすべての仕事を受け持ち、受付係、出納係のお世話をします。 普通は、出納係を兼ねてもかまいません。 |
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<受付係> | 「会葬者名簿」と香典の受け付けが主な仕事となります。 記載してもらう時には名前と住所をきちんと書いてもらいましょう。 また、霊前に供えられた供物や香典、郵送されてきた香典なども記帳しておきます。 受付係は、親族の方もしくは隣組の方か会社の人にお願いするのが普通です。 |
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<出納係> | 現金を取り扱いますから、親族か知人で几帳面な方にお願いしましょう。 香典の入金、葬祭費、お寺様への支払いなどを受け持ちますから、記帳のミスがないよう2人で分担します。 また、遺族としては細かな出費がたくさんありますから、5〜10万円くらいの現金を預かっておきましょう。 葬儀にかかった費用は、遺産相続の時に税金控除の対象になりますから必ず領収書をもらっておきます。 |
お寺様が枕経にお出でになったら、臨終勤行をあげていただきます。
初七日までは次々と行事が重なりお寺様とゆっくりお話ができませんから、そのあとお寺様のご意向を承り、通夜、葬儀、初七日の日時をきめます。
また、葬儀に出ていただく僧侶の人数や戒名(法名)などについても打ち合わせておきましょう。
※次のことを決めましょう。
お通夜 日 時〜 時
お葬儀 日 時〜 時(お寺様 何名か)
初七日 日 時〜 時
(以後の行事については、初七日の時にゆっくりと打ち合わせましょう。)
お布施は、一般的には読経料とか回向料と考えられがちですが、本来は少し意味あいが違っています。
お布施とは、仏道に励む僧侶に対して在家の信者が持てる物を差し上げることです。
多く持っている人は多く、貧しい人はそれなりに上げればいいのです。
「身にいためばお布施」といわれるように、喪家の財力に見合った額をお包みされればいいでしょう。
つまり、大切なのは差し上げる人の気持だということです。
しかし、枕経、お通夜、葬儀とご迷惑をおかけし、末長いおつきあいをしなければなりません。
具体的な額については、ご親戚の詳しい方か青山会館にお尋ねください。
院号と、一般にいわれる戒名(法名、法号とも)は、別々のものです。
戒名は仏弟子となった証しとしてつけられますが、本来は元気なうちにお寺様からいただくものです。
院号はその上につける尊称で、お寺様に対し多大の功績があった熱心な信者だけに与えられます。
院号をお願いするには、戒名を授かる前にお寺様にお伺いして、院号料を包んでお願いします。
遺族の方は、死亡診断書1通を医師に作成してもらい、役所へ死亡届を出します。
その時に火葬許可書を交付してもらいますので、印鑑が必要です。
火葬許可書がなければ火葬ができませんから、必ず持参しましょう。手続については青山会館が代行いたします。
葬儀のほとんどは葬儀社が執り行いますが、香典などお金を取り扱う受付、出納係と煮炊きをするおとき係は、隣組にお願いするのが普通です。
喪主か、喪主に準ずる人が直接、隣組長さんへ出向いて長年のおつきあいのお礼を述べ、通夜と葬儀の日時を伝えます。
そして、「受付に何人位、おときに何人位お願いします。何かとご迷惑をおかけするかと存じますが、よろしくお願いします」と、きちんとあいさつしておきましょう。
受付をつくったり、花輪を立てたり、会葬者があふれたりと、向こう3軒両隣りにはお通夜から葬儀当日、初七日まで、いろいろとご迷惑をおかけすることになります。
直接お伺いし、ごあいさつをしておきましょう。
お寺様をはじめ、親族やご会葬者の多くは、車でお見えになりますので、近所にあき地などがあれば隣組長さんに相談して、駐車場として確保しておきましょう。
臨終の直後に死亡の通知を出すのは、ごく身近な関係者に限り、一般の方や会社関係へは、通夜、葬儀の日程と場所が決まってから連絡するようにします。
会社へは同僚か総務部へ通知し、生前の仕事上の関係先への連絡をお願いしておきます。
その際、年賀状や住所録をもとに電話するのがいいでしょう。
内容は必要なことだけを簡潔に伝え、早朝や深夜の場合は「こんな時間に大変失礼ですが」とひと言、申し添えましょう。
故人の知名度が高かったとか、社会的な要職についていた場合は、新聞に死亡広告を出します。
葬儀社でも代行できますが、広告会社や新聞社に電話すれば手続きできます。
死亡広告を出せば、電話での問い合わせやお悔みが増えますので、臨時電話を架設して1本の回線はあけておくようにすればいいでしょう。
葬儀の式中に、ご会葬いただいた方々へのお礼を述べなければなりませんので、親戚の中でふさわしい方に、親族代表あいさつのお願いをします。