枕経がすんだら、そのまま夜通しで遺体を守り、故人との名残りを惜しむのが普通ですが、最近は枕経のあとすぐに納棺する場合が多いようです。
納棺は遺族と近親者が中心になり、葬儀社がお手伝いします。
棺の中に白い布団を敷き、その上に遺族の手で遺体を納め、経かたびらや付属の品、故人が愛用していた品々を納めます。
陶器や金属、ガラス製品、燃えないものは入れられません。
棺のふたは置いておくだけにして、上におおいをし祭壇に安置しておきます。
葬儀の日時を延ばす場合には、ドライアイスを入れて遺体を保存することもできます。
場合によっては、先に密葬を行ってお骨にし、後日、適当な日に葬儀を行うこともあります。
遺体の保存については、青山会館の係員にお尋ねください。
死亡の通知を受けますと、弔問客が次々と訪れます。
喪主は遺体のそばにつきそって、燈明のろうそくや線香がとぎれないよう注意し、故人に代わって弔問客にあいさつをし、お悔みを受けます。
しかし、納棺の時には弔問は納棺がすむまで待っていただくようにします。
喪主も遺族も、弔問客に対してはその都度、出迎えたり見送ったりする必要はありません。
自宅葬をする場合は、まず祭壇を置く部屋を決めてから家の中の整理を始めます。
祭壇を飾る部屋は、玄関や縁側に近くて、ふすまなどを取りはずせば広く使える部屋がいいでしょう。
机やタンスなどの家具類は、別室に移すか壁面に並べて、部屋を広く使えるようにします。
この時、遺族の喪服や個人を偲ぶアルバム、寝具などは前もって取り出しておいて下さい。
かけがえのないものや、壊れやすいものは、喪家の手で移動したほうがいいでしょう。
子供たちや喪主、遺族の休憩用、僧侶の控え室として、1部屋準備しておきます。
マンションやアパートの場合は隣りの方に控えの間を提供していただくように相談してみましょう。
焼香は廊下でできるように工夫することも大切です。
自宅葬の場合には、祭壇や外灯、葬儀当日の放送機材などに、かなりの電力を使うことになりますから、20A以下では不足することがあります。
お隣から電線を引かせていただくか、葬儀が終わるまでの間は電力をあげてもらうように、電気工事会社に依頼しておきましょう。
葬儀式場は一般の斎場で、お通夜だけを自宅で営む場合は、簡単な礼拝施設を用意します。
それでも弔問客が少なくなるわけではありませんから、葬儀式場と同じような内容で設営することが大切です。
斎場で通夜、葬儀を営む時は、自宅の玄関口を掃き清めて、忌中の札を張り、通夜と葬儀の案内看板を立てます。
葬儀社の係員が手配いたします。
この場合は、ご弔問に見える方々に失礼にならないよう、また、不用心にならないように留守番役をお願いしておきましょう。
遺族の喪服は、お通夜の時までに用意しておきましょう。
もし手持ちのものがない場合は貸衣装店や葬儀社から借りるようにします。
お化粧やアクセサリーはできるだけ控えめにしましょう。
悲しみの席では、赤い口紅や派手なアイシャドーはどうしても目立ちますので、ノーメイクか自然に近いメイクにしましょう。
また、婚約指輪やブレスレット、イヤリングなどもつけないのが原則です。
「涙の粒」を意味する真珠のネックレスや黒曜石、オニックスは許されています。
通夜は、遺族や近親者、故人と親しかった人たちが故人と生前同様に最後のおつきあいをし、その冥福を祈る儀式です。
昔は、遺体を野獣から守るため、僧侶の読経が終わってから関係者が夜通しで付きそったことから始まったといわれています。
最近は、葬儀の前夜に、祭壇を葬儀用に飾ってからお通夜を営みますが、午後7時頃から9時頃までに済ませることが多くなりました。
普通、通夜は、隣組みなどの外部の人の世話にならず、親族だけで務めるものです。
弔問客は、仕事の都合などで午後6時過ぎくらいからお参りに来られますので、親族は早目に食事を済ませて弔問を受ける準備をしておきましょう。
親族の中で、お茶の用意とお菓子を弔問客にお出しする人なども決めておきます。
午後7時を過ぎると弔問客も増えてきますから、来られた時に玄関口で通夜礼品だけを渡すことも多いようです。
お寺様が見えになり、読経が始まりますが、普通は30分くらいかかります。
時には、そのあと法話される場合もあります。
焼香台の前に弔問客が滞りがちになることもありますので、お寺様の後に別の焼香台を用意する場合もあります。
また、弔問に来られた僧侶を導師様よりも上座にお通ししないようにします。
ご詠歌は公の仏事ではありませんから、読経のあとでお願いします。
また、法話をしていただく時の焼香は遠慮していただくようにします。
お寺様の読経、焼香が終わって、遺族、親族が順に焼香を済ませ、一般の方々の焼香が終わったところで、お寺様は退出されます。
そのあと、喪主が謝辞のあいさつをして、お通夜が終わります。
時間的には予定通りにならないものですが、弔問客が少なくなってからあいさつをして、お開きにされてもかまわないでしょう。
通夜の弔問客がお帰りになったあとも祭壇の火は絶やさないように気をつけます。
親族もごく近い方だけが残り、皆様がお帰りになったら、故人の看病でお疲れになった遺族や、お年寄りには特にいたわりの気持ちをもって接しましょう。
焼香が済んで、ある程度の時間になれば、喪主(または代理人)が弔問客に謝辞を述べます。短く簡単なあいさつがいいでしょう。
<あいさつ例@>本日はご多忙のところ、通夜においでいただき、誠にありがとうございました。
お蔭様で、とどこおりなく通夜をおえることができました。
夜も更けてまいりましたので、この辺でお開きにしたいと存じます。
本日は、どうもありがとうございました。
<あいさつ例A>皆様、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
故人も皆様のお志をいただき、さぞや喜んでいるものと存じます。
夜も遅くなりましたので、明日のお仕事にさしさわりがありましては、と存じます。
どうぞ、ご自由にお引き取りくださいませ。
なお、明日は○○○時から葬儀となっております。
本日は、ありがとうございました。
あいさつは、あくまで感謝の気持を表わすものですから、短く簡単でも心をこめてしましょう。