肉を使わず野菜だけの料理を精進料理といい、忌日や命日の時に作ります。
遺族、親族が葬儀の前に故人とのお別れとしていただく精進料理が、おときといわれるものです。
これは、仏教で説かれている「八正道」の六番目の徳目や、「六波羅蜜」という大乗仏教で説かれている戒めの四番目の「精進」を実行することがもとになっています。
精進とは、怠りの心をムチ打ち、悪事を避けて善事を積むという仏道に励むことです。
服喪の期間中は身を清めて、物忌みする日本古来の風習と合わさって伝えられているもので、それが精進料理になったようです。
早目に礼服に着替えて、おときを済ませるようにしましょう。
葬儀には大勢の人たちが出入りしますから、受付係には遺族側の責任者をはっきり伝え、また、受付係の顔ぶれを確認し、あいさつをしておきます。
火葬場に行っている間に自宅などが不用心にならないよう、留守番していただく係を決めておきましょう。
留守係は、遺族、親族が着替えた衣服、荷物をとりまとめて保管しておきます。
葬儀が始まる前には、まずお導師様と法中様に控え室でごあいさつし、法中様にお礼のお布施をお渡しします。
初七日を葬儀のあとにされる場合は、葬儀前にお導師様に初七日のお布施を用意しておきましょう。
火葬場で、遺族や親族が休憩する間のお茶菓子や、隣組、受付の方々の精進落し、お骨あげを済ませて戻られた方々の精進落しは、前もって準備し、確認しておきましょう。
供物などの並べる順序を決めましょう。
親族、仕事関係、友人などから生花、提灯、花輪などの供物を贈られますと、式が始まるまでに葬儀社から式場へ届けられます。
基本的には到着した順番に並べますが、場所の広さや贈り主の順列などの問題もありますので、葬儀社の係員に相談されたらいいでしょう。
弔電は司会者が拝読しますので、遺族の方は前もって選んで、読み上げる順序を決めておきましょう。
数が多い場合は、電文を読む数を決めてその他は肩書や社名と名前のみにします。
葬儀で最も大切な書類が火葬許可書です。
これがないと火葬ができませんので、喪主は確認しておき、出棺の時に必ず持参しましょう。
式場では、喪主を先頭に遺族、親族の人が故人に近い順に着席します。
葬儀が始まる前に、式次第の内容と喪主などの式中での動きについて、司会者から説明を受けておきましょう。
出棺の時には、火葬場へのお見送り、そして帰りをお待ちいただく方々のためにも、手際よく行動するようにしましょう。
火葬場へ行かれる人数を確認し、車の用意をしますが、宮型の霊柩車に1名〜2名、マイクロバスには25名くらい乗れます。
一般の車はできるだけ少なくして、それぞれに乗りあわせていただくようお願いしましょう。
葬式と告別式を、普通、葬儀といっていますが、最近は両方を同時に行いますから、混同されているようです。
葬式は、故人が成仏するための儀式であって、遺族や近親者、故人と特に親しかった友人や知人が行うもので告別式は、一般の会葬者も参列して故人に最後の別れを告げる儀式です。
自宅葬の場合は、葬式と告別式を合わせて約1時間、社葬の場合は両方で約1時間30分くらいを予定することが多いようです。
式次第にしたがって進められますから、葬式のプロである司会者の指示に従いましょう。
案内があるまでは、あまり動かないようにします。
<葬儀式次第>
1,お導師様入場
2,一同合掌・礼拝
3,開式の辞
4,読経
5,弔辞・弔電拝読
6,親族代表謝辞
7,読経
8,喪主焼香
9,親族焼香
10,会葬者焼香
11,一同合掌・礼拝
12,お導師様退場
13,閉式の辞
14,出棺 ※宗派により異なります。
宗派によって多少の違いはありますが、焼香までに読経が30分くらいかかります。
その間は、基本的には正座しなければなりませんが、正座に慣れていない方は、あまり見苦しくならない程度であれば足をくずされても構わないでしょう。
親族代表の謝辞は、会葬者へのお礼が主眼ですから、できるだけ簡潔にしましょう。
もちろん、長い間の病気のあらましや臨終の様子などは申し述べるとしても、過去の経歴や功績については避けた方がいいでしょう。
ただし、長男が喪主で、父親の業績を受け継ぐ立場にあるなら、社会的な地位を守るための覚悟を簡単に述べることは必要だといえます。
<例1>
本日は、皆様方ご多忙中にもかかわりませず、故人のためにご会葬くださいまして誠にありがとうございました。
顧みますれば、故人存命中は皆様方には格別なご厚情を賜り、また、発病後はご丁重なお見舞を頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。
私ども一同も、あらん限りの看護をいたしましたが、天寿のいたすところでございましょうか、○才を一期として○日永眠いたしました。
本日、かように盛大なお見送りを受けまして、故人もさぞや満足していることと存じます。
なお、後に残ります遺族一同にも、故人同様のご厚誼を賜りますようお願い申し上げ、はなはだ粗辞ではございますけれども、お礼のごあいさつとさせていただきます。
<例2>
高い所から誠に失礼ではございますが、○○○家を代表いたしまして一言お礼を申し述べさせていただきます。
本日は、皆様方には公私ともご多用中のところ(または、折からの悪天候にもかかわりませず)、故○○○○の葬儀にかくも多数の方々にご会葬賜わりまして、誠にありがとうございました。
故人も、さだめし浄土のかなたから皆様のご厚情に感謝いたしておることと存じます。
ご承知のように・・・・(@またはAまたはB )
@日頃から病弱であり、故人も今日まで何とか病と闘ってまいりましたが、遂に命脈がつきたのか○月○日、○才の生涯を閉じたわけでございます。
A若い頃から頑強そのものでしたが、○月○日に突然発病し、とうとう○月○日に永眠いたしました。
B全く突然のことで、私どももただあ然とするばかりです。誠に残念としかいいようがありません。
生前は、皆様には大変お世話になったことと存じますが、何ひとつご恩返しもできずにこの世を去ってしまうことが、故人の唯一の心残りではなかったかと存じます。改めて、故人になり代わりまして厚くお礼を申し上げる次第です。
後に残る遺族も、何かと皆様のお世話になるかと存じますが、故人同様に、何とぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、皆様へのお礼のごあいさつに代えさせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。
焼香の由来は、もともとインドにおいて体の臭いを除くために行われた風習で、伽羅、百壇などの香木を焚いたことから始まったといわれています。
香は仏の使いであるといわれ、仏をお迎えするため、また、仏に捧げるために焚かれるものです。
長くも燃え続けますから、精進する徳を表わしています。
各宗派によって作法に若干の違いはありますが、故人の冥福を祈るために、残された者が心を伝える方法として考えた細やかなしきたりといえます。
焼香の作法は宗派によって若干、違いますので、各宗派のしきたりに合わせて焼香しましょう。
●浄土真宗本願寺派(西)・・ 香は額まで持ち上げないで、そのまま一度だけ行います。
●真宗大谷派(東)・・ 二度香炉へくべます。
●浄土宗・・ 額にいただき、一度か三度、香炉へくべます。
●日蓮宗 ・・額におしいただいて、三度、香炉へくべます。
●禅宗・・・ 一つまみだけ額におしいただいて香炉にくべたあと、もう一度、いただかないで、そのままくべます。
●真言宗 ・・ 一度または三度、左手をそえて香をくべます。
●日蓮正宗 ・・額におしいただいて、三度、香炉へくべます。
何宗の焼香であっても、葬儀の参列者が多い場合は宗派にこだわらず、一回でも別に差しつかえはないようです。
<焼香の順位>
@喪主嗣子(長男)A母B喪主の妻C孫(喪主の子)D喪主の弟
E喪主の姉妹(他家に嫁いだ人)F伯父・伯母(故人の兄弟姉妹)
G喪主の兄弟姉妹の子(故人の孫)H喪主の妻の兄弟姉妹
I喪主の従兄弟姉妹J故人の友人(年長順)
※会社・団体などの会葬が多い時@喪主A遺族B葬儀委員長C会社・団体代表者D友人E親族F一般会葬者
一般の会葬者は、葬儀が会葬者焼香に移って、進行係から「どうぞお焼香をお願いします」とあいさつがあってから、先着順に随時、焼香します。
僧侶の読経の間は、遺族のところで一礼してもお悔みのことばを述べられる必要はありません。
遺族はそれに返礼しますが、いちいち、ことばを返す必要はなく、頭礼して返すだけにします。
また、会葬者が礼をしなくても、一人一人に黙礼をするようにします。
告別式の行事がすべて終わると、柩を火葬場へ移し、その日のうちに火葬にします。
柩を霊柩車に乗せる前に、遺族から順に親族、特に親しい友人は、故人と最後の対面をし、別れを惜しみます。
この時、故人のために供えられた生花をそれぞれが一輪づつ棺に入れ、遺体の廻りを埋めつくすようにします。
これを「別れ花」といいます。
また、故人が生前に愛用していた小物なども入れることもあるようです。
最後のお別れが済むと、棺のふたを閉め、釘打ちの儀式をします。
葬儀社の係員が頭部にあたる部分だけを半打ちにしておきますので、喪主から順に遺族、近親者が小石で一人二回ずつ、コツコツと軽く打ちます。
この小石は、三途の川の河原の石とされ、無事にその川を渡れるようにという祈りをこめ、霊をしずめるものといわれとぃます。
※宗派によっては、くぎ打をしない場合が有ります。
いよいよ出棺となりますが、棺は遺体の頭を先にして、遺族や血縁の若い男性が霊柩車まで運びます。
喪主は位牌を胸に棺の前に立ち、次の人が遺影を持って続きますが、最近は位牌だけの場合が多いようです。
棺が霊柩車に安置されますと、遺族は出棺を見送る人たちに向かって整列し、喪主が会葬者に対してお礼のあいさつをします。
内容は、故人への厚誼に対するお礼と会葬者への謝意の表明が中心となります。
<例1>
本日は故○○○○の葬儀にあたりまして、皆様ご多忙中にもかかわらず、かくも多くの方々にご会葬いただき、厚く御礼申し上げます。
生前はひとかたならぬご厚情をいただき、また本日ここに、このように多くの皆様にお見送りをいただきまして、さぞかし故人も感謝いたしていることと存じます。
今後、私ども遺族に対しましても、これまで同様のご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は、誠にありがとうございました。
<例2>
本日は、皆様には大変お忙しい中をご会葬賜りまして、誠にありがとうございました。
お懐かしい皆様にこうしてお見送りいただき、故人も本当に喜んでいることと存じます。
故人は日頃は健康なことを自慢していたくらいですから、このように突然倒れるとは思いもよりませんでした。
しかし、○才と言う高齢でありましたので、いわば天寿をまっとうしたと思っております。
家業の方は、長男の○○が引き継ぎ、やっていく覚悟はありますが、まだ若輩ものでございますので、皆様のご指導ご鞭撻をよろそしくお願いいたします。
今後とも私たち遺族に変わりなきご厚誼を賜わりますようお願い申し上げます。
皆様、本日はどうもありがとうございました。
火葬場へ行かれる人は、外でお待ちになっているお見送りの人のためにも、すばやく行動し霊柩車と一緒に出発します。
その時、喪主は火葬許可書を、係の人は火葬場で必要なものを必ず持参しましょう。
<必要品>・火葬許可書・酒肴・位牌・骨箱一式・写真(遺影)・供花・ローソク(2本)
※青山会館では係員がすべてをお世話いたします。
霊柩車が火葬場に着きますと、まず火葬許可書を提出してください。
そして、ご遺体を仮安置し、全員が最後の焼香をいたします。そのあと柩が炉にいれられます。
遺族には耐えがたいほどの悲しみの時ですが、最後のお別れをして、控室で火葬が終わるまで待ちます。
火葬場に提出した火葬許可書は、火葬が終了した時に1枚返却され、これが埋葬許可書になります。
墓地や納骨堂などに遺骨を納める時に必要ですから、大切に保管しましょう。
火葬が終わりますと控室に連絡があり、お骨あげとなります。
木と竹を組み合わせた箸を使って、2人1組になって同じ骨を拾い、お骨つぼに入れます。
拾い方は、足の方から頭へと順に拾い、最後に舎利といわれるのど仏の骨を、故人と最も縁の深い人が拾います。
のど仏は係員が取り分けてくださいます。
お骨上げが終わったら、骨つぼは白木の箱に入れてもらい、喪主が抱いて帰ります。
郷里が遠く、そこに近親者が多く住んでいて、法要があるたびに墓地へ行くのが難しい場合もあります。
また、故人の遺言で、先祖と同じ墓に入りたいとあったとしても、遺族としては近いところに墓をつくりたい場合などには、分骨することができます。
このような事情がある時は、当社へ前もって申し出て、分骨用と合わせて二つの骨つぼを用意しておきましょう。
骨つぼは、火葬場でも分けてもらえます。